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MainStreetGrowthActが米国のIPO市場を変える。

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こんにちは、ミートくんです。

2018年9月現在、UverやAirbnbなどのいわゆる「名高い企業」がいまだに未公開企業である(公開市場で売買されていない)というのはビックリな話です。

2000年以降米国ではIPOの数が激減しておりまして、公開市場に進む企業が少なくなりました。

IPOを選択しない企業とIPOを促進したい行政側の戦いというか動きが非常に面白いので、新たに下院を通過した法案を含めて米国IPO市場の近況と今後を見てみましょうか。

 

Main Street Growth Actとは?

まず最初にMain street Growth Actについてお話しましょう。

まず「メインストリート」という言葉は2008年のリーマンショックの後に生まれた言葉です。

投資銀行の世界の人達が、一般人が一生働いても稼ぐ事ができない報酬を1年で貰ってましたよね。

『バブルの時は役員に高額の報酬を払って、潰れそうになったら「Too big to fail(=大きすぎて潰せない)政府の救済が必要」なんて、とんでもねぇ!』

とムーブメントが起きたのは記憶に新しいです。『ウォール街を占拠せよ!』みたいなデモも多数起きました。

こういった金融エリート達が働くウォールストリートに対して、世間一般の実直に働いている人達を「メインストリート」と表現するようになりました。

イメージ的にはお金を使ってお金を生み出すようなビジネスではなく、モノを作ったり顧客にサービスを提供して利益を生み出すようなビジネスを「メインストリート」と呼び始めましたが、最近では割と広い意味で使われているみたいですね。

→ https://www.investopedia.com/terms/m/mainstreet.asp

 

前置きが長くなりましたが、このメインストリートの成長を促すための法案として、Main Street Growth Actが提出されています。2018年7月10日に下院を通過しました。

この法案は、Venture Exchanges(ベンチャー取引所)を許可して、スタートアップ企業や中小企業がIPOをする場を作るというものです。

IPOを行う企業の数が激減してきたので、ニューヨーク証券取引所やNASDAQなどのNational Securities Exchangeの下に、Venture Exchangeを設けるというわけですね。

National Securities Exchangeに関しては以下の記事の下部で解説しているので、どうぞ。

tZEROは仮想通貨ではないという話。

Main Street Growth Actの目的はより多くの企業を未公開市場から公開市場に持っていこうということです。

法案の提出 Tom Emmer(共和党議員)
番号 H.R. 5877
起草 David Weild(2015年)
前回の法案提出 Scott Garett (共和党議員)

Main street Growth Actはさかのぼると2015年3月に元ナスダックの副議長David Weildにより起草されました。

David weildは2012年にJOBS ACT法に携わった人物で、米国にてクラウドファンディングを合法にした人物です。ジョブズアクトの父と呼ばれています。

この法律では企業の資金調達のルールも緩和されました。

2016年2月26日にニュージャージー州の共和党議員Scott Garettにより法案が提出されましたが、残念ながら否決されました。

→ https://www.govtrack.us/congress/bills/114/hr4638

当時は議会の委員会が『まだまだ勉強する必要がある』ということで最終投票まで行かなかったのです。

それから2年の歳月を経て、ミネソタ州の共和党議員Tom Emmerによって提出されて、このたび下院を通過しました。

→ https://www.govtrack.us/congress/bills/115/hr5877

米国では、毎年何千件もの法案が連邦議会に提出されますが、大統領署名されるのは数百件です。

大統領署名に辿り着くまでに、公聴会や小委員会、マークアップ(修正&仕上げ)など様々なプロセスを経ますが、基本的に大統領署名までいけば、よほどの事がない限り拒否される事はありません。

大統領が拒否した場合は、連邦議会が拒否権を覆す事を試みる事ができて、両院の3分の2の賛成で無事法律になります。Main Street Growth Actは共和も民主も足並み揃えそうなトピックだと思います。

 

Main Street Growth Actが生まれた背景

前述した通り、問題は米国のIPO市場はIPOを行う企業の数が激減しているという点です。

これがMain Street Growth Actができた背景です。

スタンフォード大学ビジネススクールのデータによると、

「企業側からするとIPOをして公開市場に行くよりも未公開でいるほうがいい」

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と銘打った記事(https://www.gsb.stanford.edu/insights/decline-ipo)の中で以下のようなデータを発表しています。

〇公開市場にて売買されている企業数
1996年 → 8,000
2015年 → 4,300(激減!)

といった具合でほぼ半分になりました。2014年は2,000年以降最大の数字となり291企業がIPOを実施しましたが、2016年は112企業。

2018年現在、資金調達総額の半分は未公開企業がプライベートエクイティファンドや、VCからの資金調達によるものです。IPOによる資金調達は全体の半分。

 

企業が未公開のままでいると以下のような弊害が起きます。

・情報開示が公開企業に比べて求められない。
・金融市場に企業情報が出回らない。
・弁護士や会計士の業務が減る。
・金融市場の透明性が減る。
・未公開企業の資金調達は投資家保護色が強く一般投資家のマネーが入らない。
・未公開企業は企業評価額や株価が不透明

企業が公開市場に進出する事は株の流動性を増し、一般投資家のマネーや投資機会を呼び込む事ができます。しかし、米国ではIPOの数が激減しています。

2012年のJOBS法では未公開企業が資金調達を行う時のルールが大幅に緩和されましたが、お金を集めやすくなった分、わざわざコストも時間もかかるIPOには進出しなくなったわけです。

Main Street Growth Actの起草に携わった元ナスダックの副議長David Weildは、

・現在の4,000企業から最低13,000企業は公開市場に必要
・毎年、950のIPOの数が必要

としています。KAUFFMAN FOUNDATIONのリサーチによると、1996~2010年にかけて約2,800の企業がIPOを実施して、220万の新たな雇用を創出しました。そして110兆円の収入になったそうです。

つまり、IPOは弁護士や会計士、監査を中心として職を生み出しますし、一般投資家の参加を促し、米国経済にメリットがあるのです。

 

Main Street Growth Actをもうちょい詳しく

もう一度、Main Street Growth Actについて復習です。

1934年証券取引法Section6に「Venture exchange」の項目を追加して、ベンチャー取引所を認めるというものです。

アーリーステージの企業が新しいIPOの形で市場から資金調達を行い、自社株に流動性を与え広く投資家を呼び込みます。

既に上場している企業にとっても、1日の最低取引量を達成できず流動性が担保できないような場合はベンチャー取引所に上場する可能性もあります。

今回、法案を提出したミネソタ州の議員Tom Emmerも議会で「ミネソタ州には130の(ベンチャー取引所であれば)上場できる企業がある」と発言しています。新たな雇用な企業の成長を促す法律なわけです。

〇現在
・National Securities Exchanges → ハードルが高い、体力のついた企業向け
・未公開市場 → VCやエクイティファンドから資金を集めている

〇Main street Growth Actの施行
・National Securities Exchanges→ 体力のついた企業向け
・Venture Exchanges→ アーリーステージ企業や中小企業 ←New!!
・未公開市場 → VCやエクイティファンドから資金を呼び込みつつ、Venture Exchangesへの上場を目指す

といったところでしょうか。OTCマーケットは無視しています。

ちなみにOTCマーケットはMain Street Growth Actには反対でしょう。自分たちのポジション奪われますからね。

 

これからどうなるのか?

『またSecurity tokenの話かよ!』

と思われるかもしれませんが、米国では仮想通貨の取引所がプレゼンス(存在感)を強めています。

米最大手のCoinbaseは証券会社を買収して、Security tokenのATSを開設しようとしていますし、Open financeはブローカーディーラーやカストディを繋いで、トークン化された証券の売買を行っています。

BitGoはSECに許認可を得た仮想通貨のカストディになりますし、仮想通貨(正確にはトークン)による証券取引が主流になる未来は近いと思います

Sharespostのように2009年から未公開企業への投資をしている企業もSecurity tokenのATSをやりますし。

 

仮にMain Street Growth Actが法律となった暁には、こういったクリプトに絡んだSecurity token系のプロジェクトがVenture Exchangeのライセンスを取得するのは容易に想像できます。

結局、ベンチャー取引所という位置付けができたとして、SECのお墨付きの下、稼働しても・・・一般投資家を呼び込むためには行政の働きかけではなく、顧客を保有している民間企業です。

行政にできるのは規制緩和だけです。

JOBS ACT方で未公開企業の資金調達が大幅に緩和されました。スタートアップ企業は自社を大きくするために資金調達を行い、エンジェル投資家、プライベートエクイティファンドやVCはリターンを得るために投資をしました。

ステークホルダーは「自分の利益のために」行動します。

Venture Exchangeを主流にできるのは、顧客を抱え流動性を提供できるSecurity token exchangeしか見当たらないじゃないですか。

BTCやETHの入金により外国からもマネーを呼び込めるんですから、米国はSecurity tokenのATSにポテンシャルを見出すでしょ。

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