こんにちは、ミートくんです。
2017年の夏頃にICOが爆発的に流行り始めた頃に、
『こりゃアメリカのベンチャー企業が証券法にのっとってICOを利用するだろうな』
と、思いまして独自にリサーチしたところナスダック上場企業のオーバーストックが自社の優先株式をブロックチェーン上に発行している事を知りました。
そして、各国の中央銀行がブロックチェーン使って資金決済の実証実験や証券決済の実験をしていたり、
日本取引所グループが野村総合研究所と共同でブロックチェーンによる実証実験を2016年からはじめたニュースを知って
セキュリティトークンの未来を確信しました。
当時はまだセキュリティトークンという言葉がありませんでしたが、
プライマリー、セカンダリー、上場株式とだいたい当時予想したように進んでいっています。
2019年上半期はなかなか気になるニュースが多かったので、
その中でも私が個人的に注目したニュースをご紹介したいと思います。
2019年上半期に気になったニュース
あくまでミートくんの主観なのでご了承ください。
Liquid Securitiesのローンチを発表
Blockstream Launches Security Token Platform on Bitcoin Sidechain
Blockstream社はビットコインのサイドチェーン技術Liquidを2018年に発表しています。
Liquidは決済や取引所間の高速取引などなど、『全部ビットコイン使えばよくね?』みたいな思想が垣間見えますが、
簡単に言うとサイドチェーン使って色々やろうというものです。
2019年5月のコンセンシスのカンファレンスにて、
『Liquid Securities』のローンチを発表しました。
企業が簡単にセキュリティトークンを発行できるようになるようなプラットフォームですね。
このLquid SecuritiesはLiquid Networkのプラットフォームで最初に使われたプロジェクトですね。
マジで、ビットコインのチェーン以外いらないんじぇね?というプロジェクトです。
未公開企業の投資のいわゆるあいのりプロジェクトのBnk to the Furureや、セキュリティトークンによる資金調達を手助けするTokenSoftもLiquid Securitiesへの参画を発表していますね。
TokenSoftはイーサリアムもハイパーレジャーもコーダも全部対応するみたいで、どのチェーンでも大丈夫!という感じなんでしょうね。
ポイント
まさにビットコインの開発をがっつりやってきた会社が、セキュリティトークンのプラットフォーム発表してんのポイント!
Proxicoinが香港のベンチャーファンドから110億円ほど調達
Hollywood Producer Raises $100 Million for Media-Focused Security Token
映画プロデューサーのライアン・カヴァノーがProxicoinというSTOを実施していまして。
彼は『Relaticely Mdia』にて200本以上の映画制作をしていて、今はワーナーブラザーズの幹部を務めている人ですね。
Proxocoinのコンセプトは、
『今まで一部の富裕層や関連企業にしか許されていなかった映画制作への投資を民主化しよう!』
というものでSTOを実施しました。
民主化しようと言いつつ、香港のベンチャーファンドから110億円以上も調達しました。
ProxocoinはCoinbaseやマルタ政府とも提携していて、エンターテイメントストック取引所なるものも開発しているみたいです。
映画制作の投資を分散化して、持ち分を取引所で売買できるようにするんでしょうね。
レオナルドディカプリオの映画制作会社が製作するAtari映画も22億円の資金調達をしますが、STOしますよね。
ポイント
一般の人達にとっても馴染みにある人やモノがセキュリティトークン化される事が重要!メディアへの露出が増えるから。
SeedInvestがATSのライセンスを取得
Circle’s SeedInvest Takes Step Toward Tokenizing Stocks With Trading License
SeedInvestはアメリカの株式クラウドファンディングプラットフォームですが、2018年にCircleが買収しました。
Ciclreは仮想通貨取引所のPoloniexを買収していたり、
ゴールドマンサックスから支援されて、USDCというステーブルコインを発行していますね。
まぁクリプトの技術使って色々やろうよという会社です。
SeedInvestがATSのライセンスを取得したというのは、
とても相性が良くて、株式クラファンで企業の資金調達を支援しつつ、二次市場でも投資家が売買できるようになるって事ですね。
SeedIvestはレギュレーションDやレギュレーションCFさらにはレギュレーションAでも資金調達できるノウハウがありますね。
特にAが重要で、公募になるので非適格投資家からも資金調達できます。
先日、BlockstackやYouKnowがSECに認められて、ユーティリティトークンをRegA+で資金調達しますが、
セキュリティトークンの資金調達もRegA+で一般化すると良いですよね。
ポイント
実績のあるクラファンサイトがSTOやって、二次市場も用意してるってのがポイント。
投資家は企業への投資も出口も見えていれば安心して投資できるから。
ユーロネクストが発行系プロジェクトのTokenyに出資
ご存知の通り、ユーロネクストは証券取引所。
約20年前にアムステルダム証券取引所、ブリュッセル証券取引所、パリ証券取引所の3つの証券取引所が経営統合して設立されたのがユーロネクストですね。
金額は6億円ほどとそんなに多くありませんが、
大きな企業がスタートアップ企業に投資するってのは、ノウハウの獲得しかないでしょうから、そーゆーことなんでしょうね。
ポイント
プライマリーでセキュリティトークンによる証券発行が増えているので、証券取引所もセキュリティトークンの売買ができるように準備しないといけない!という話を関係者から聞きました。
ATS以外でデジタル証券の売買の許認可
Tritaurian Capital gets approval of license for private placements of digital securities
Tritaurian capitalという投資銀行がATS以外でセキュリティトークンの売買のライセンスを取得しました。
SECからお墨付きもらったって事ですね。
これの何が良いかってセキュリティトークンで証券を発行している企業の買収どうするの?問題があったわけですね。
つまり、M&Aです。
ポイント
A社がセキュリティトークンで証券発行したら、B社が買収する際に間に入る投資銀行ってのはちゃんとセキュリティトークン形式で売買するためのノウハウがないといけないんですよ。
カストディもね。これでセキュリティトークンの別の側面も知れたかと思います。
セーシェル諸島の証券会社がセキュリティトークンの上場
National Stock Exchange Becomes World’s First to List a Tokenized Security
セーシェル諸島のMERJ証券取引所が公募で16%のトークン化された株式、つまりセキュリティトークンを上場させます。
スイス証券取引所やマルタ証券取引所、ジャマイカ証券取引所が競っていたわけですが、
1番早かったのはセーシェル諸島になりましたね。
MERJは証券取引所としてのライセンスの他にクリアリング(=清算)と証券保管振替のライセンスも持ってますから、ちゃんと全部実証実験してやっとこさ乗り出したんでしょうね。
ロールモデルになりそう。
さすがに先進国が一気に全部仕組みを切り替えるのは大変ですが、
このように小国や途上国が証券取引をブロックチェーンで行うのは比較的容易そう。
ジャマイカ証券取引所はカナダの会社が手伝っていますし、タイもアメリカの会社が手伝っていますよね。
ポイント
小国にとっては外国からマネーを呼び込むってのは産業にとって非常に重要。
特に資源が無くて競争力が無い国はタックスヘイブンよろしく色々と国策として海外企業呼び込むじゃないですか。
それと同じで摩擦がなく外国の企業が投資できるように、証券取引をブロックチェーンで行うんですよ。
SBIがSTOの実施と団体立ち上げへ
https://jp.cointelegraph.com/news/sbi-president-kitao-will-establish-new-sto-organization
SBIが4月の決算報告でSTOを実施する事を検討しているとして、7月にSTOの団体立ち上げを発表。
団体には大手ネット証券会社も加わる予定と。
金商法の改正でセキュリティトークンは『電子記録移転権利』になったわけですが、
1種のバリバリの規制の下、STOやるしか(もしくはクラファン)方法がないので、POをSTOでやるように頑張るのかなと思います。
大手ネット証券会社は楽天なんだろうなと、あとはカブドットコム証券。
そして独占的に運用できそうな(ライセンス2社だけなので)PTSの拡大に向けてブロックチェーンを利用していくのがSBIの目標のように感じてしまいますね。
アメリカのように証券取引所の出来高も分散化させるのでしょう。
あと、個人的にはローン市場や分割決済とか、集金代行業務に関してはあまり厳しいライセンスがいらないので、
そっち方面に日本の企業は舵取りしそうな未来を予想しています。
リクルートファイナンスも海外のセキュリティトークン系のブロックチェーン企業にがっつり投資していますしね。
ポイント
日本の金商法はかなり厳しいので、バリバリの規制の下でやるにはPOが向いています。
スタートアップ企業がSTOするにはちょっと日本の金商法には適合しづらいです。コスト面で1種の公募ではできないので。
まとめ
正直、ほんの一部なのですが
これからのセキュリティトークンの未来に向けて重要になりそうなニュースをピックアップしました。
ここ2年ほどずっとセキュリティトークン市場を追っています。
仮想通貨やICOと同一視している人達に
『証券市場がブロックチェーンで再現されるだけ』という事を認識してもらいたいものです。