セキュリティトークン

セキュリティトークン(米国)の資金調達方法についてまとめてみる。

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こんにちは、ミートくんです。

私は既存の証券市場がブロックチェーンに置き換わる未来、つまりセキュリティトークンに賭けています。

2018年9月時点では、米国をはじめとしてスイス、バミューダやマルタなどの租税回避地にてセキュリティトークンが流行っていますが・・・

あくまで米国での規制に沿って米国で行われているのが、真のSecurity tokenだと思っていて、米国のスタートアップ企業にしか投資しません。

今回は、米国の資金調達のルールを理解していきましょう。

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セキュリティトークン資金調達の前提

まず、大前提の大前提なんですが・・・

日本で起業!というと自分で資金を貯めたり銀行から融資を受けて(間接金融)起業するイメージがあるかと思います。

米国の場合は、直接金融が発達していて企業が事業を行う際に投資家から直接資金を集める事が一般的です。代わりに株を発行します。

例えば、アメリカで大流行したダイエットグッズがあったとしましょう。世界中に展開するためには多額の資金とノウハウが必要です。

自己資金でやろうと思うと何年もお金を貯めないといけないですし、その間にビジネスチャンスを失ってしまう。銀行から借りると返さないといけない。

アジアやヨーロッパに事業を展開するノウハウや人材も準備しなければならない。

ということで、VCなどから資金調達を行い、自己資金以上のビジネスを行うわけです。この場合アジアのVCと提携できると、販路拡大の手助け(ハンズオン)をしてくれる可能性もあります。

ですから、『自己資金以上のビジネスを行うために資金調達をする』わけです。投資家は企業が潤沢な利益を生み出してくれればリターンの恩恵を授かる事ができます。

セキュリティトークン系のプロジェクトも同じです。

 

前置きが長くなりました。

 

上記前提の上でセキュリティトークン系のプロジェクトの資金調達の方法を学んでいきましょう。

※注意
このブログの筆者は弁護士やアトロニー(弁護事務士)の資格はありません。情報には気を付けてリサーチをしていますが、正確さを保証するものではありませんのでご了承ください。

 

米国企業の直接金融による資金調達のルール

1、SECに登録
2、SECの登録免除

米国の企業が資金調達を行う場合、上記2つの選択肢があります。

まず、証券の発行に関する法律は1933年証券法で規定されており、企業が証券を発行する場合は基本的に米国証券取引委員会に『登録』する必要があります。

しかし、この登録プロセスには多額のお金と相当の時間がかかってしまうため、FormDという書類を提出する事で『登録免除』を受けます。

ほとんどのスタートアップ企業は『登録免除』を選びます。

なぜならスタートアップ企業にとって、多額の弁護士費用を払ってSECの登録を1年半を待つ余裕なんて無いですし資金もビジネスチャンスも失ってしまいます。

ちなみにですが、上記の登録も免除の申請もせずに証券の販売を行う行為は『連邦犯罪』です。

米国外の企業がアメリカ人に向けて違法な証券を販売したら、SECは外国に乗り出してボコボコにしますし、過去の出来事だろうが何だろうが、何年遡っても徹底的に打ちのめします。

 

〇Regulation D (通称:レグディー)

このレギュレーションD(通称レグディー)は一定の要件を満たせばSECへの証券募集登録を免除できるものです。

このRegDには3つの募集ルールがあり、企業は3つのルールから選択します。


■ルール506(c)

セキュリティトークンの発行で最も利用されているのが、このルール506(C)。ルール506(C)は2013年にRegDに追加された規定です。

「適格投資家のみにネット上で証券の募集を行うもの」

と考えていれば、オッケーなのですが、年収約2,200万円以上を2年間 or 約資産1億1,000万円という米国人の数%しかいない適格投資家のみに販売が許されています。

・調達金額の上限なし
・すべて投資家は適格投資家である必要
・一般勧誘が可能
・募集期間は12か月以内
・必ず適格投資家のみに販売している証明が必要(KYC機関利用の徹底)

上記のような特徴があります。また、506で募集された証券は『カバード証券』と呼ばれ連邦レベルでの規定を満たしているため、州法の免除を受けられます。

米国は州によって法律が異なりますが、証券に関してはブルースカイ法という各州が設定してる証券法があります。これが免除されます。

 

■ルール506(b)

こちらはSTOではなく伝統的な証券の募集で使われる規定です。

・募集額の上限無し
・一般勧誘の禁止
・35名までの非適格投資家の参加可能
・適格投資家の証明はルール506(C)のように厳しく求められない

上記のようにネットを使ったマーケティングなどの一般勧誘が行えない事から、STOには利用されません。

 

■ルール504

・一般勧誘の禁止(一定条件で可能)
・調達額は500万ドル(約5億5,000万円)まで
・適格投資家以外からも調達が可能
・何人でも投資可能
・ブルースカイ法の免除を受けない

 

上記がRegDに関する紹介です。数字の若い順に紹介を行いたいものでしたが、セキュリティトークンの募集に最も利用されるルール506(c)から説明しました。

表にまとめると以下のようになります。

ルール Rule506(b) Rule506(c) Rule504
12か月間での調達可能額 ナシ ナシ 500万ドル
一般勧誘 不可 条件により可
投資家基準 適格投資家の人数制限ナシ

非適格投資家35人まで

適格投資家の制限ナシ

収入証明など厳しいKYCの徹底

制限ナシ

※なぜ上限が無いのに2,000人に設定するのか?

未公開企業であっても株主の数が2,000人以上になってしまうといわゆる有価証券報告書の継続開示義務が必要となります。

継続的に有価証券報告書を提出しなければならないとなるとリーガル面でのコストが増大するため企業は2,000人以下に抑えます。

元々は500人以下だったのですが、2015年のJOBS Actで2,000人に引き上げになりました。JOBS Actに関してもどこかのタイミングで記事にまとめたいと思います。


 

〇SECに登録して資金調達をする場合

ほとんどの企業がSECの登録免除を受けて資金調達を行いますが、SECの登録プロセスを経て資金調達を行う企業もあります。

S-1という書類を提出して、SECのレビューを受けて登録となります。

 

期間と費用はかかりますが、以下のようなメリットがあります。

・幅広い投資家からの募集が可能(非適格投資家も参加可能)
・一般勧誘が可能
・RegDのように譲渡制限が無い
・調達額の制限ナシ

SECに事前に登録を行った上で資金調達をする最大のメリットとしては「譲渡制限」が無い事かもしれません。

RegDの場合は適格投資家のみ投資が可能なため、譲渡制限が設けられています。

例えば、年収2,200万円以上の適格投資家が未公開株の購入をしてその後、相対取引で非適格投資家に譲渡といった事ができてしまうと、506(c)で厳しくKYCをする意味がなくなってしまいます。

そこで、「ロックアップ期間を1年間」といった具合で譲渡制限を設けるのです。

RegDの資金調達で投資を行った適格投資家は証券を1年間は売買できないわけですが、SECに登録して資金調達を行う場合は、すぐに交換が可能です。

すると、SECに登録して資金調達 → すぐに上場といった事もあり得るわけですね。

 

セキュリティトークン系のプロジェクトでSECの登録プロセスを経ている企業

・Overstock
・MonsterProducts Inc (約330億円のSTO予定)
・The Praetorion Group (約165億円のSTO予定)

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Overstock(tZEROの親会社)は自社株の一部をブロックチェーン上に発行して資金調達を行いました。

The Praetorion Groupは不動産をトークン化するプロジェクトでMonster Productsは1978年にカルフォルニアで設立された音響機器の企業です。

上記のように、S-1という書類をSECに提出して証券募集の許可を待っている企業が2社あるので動向を見ていくと良いでしょう。

SECに登録をした上でトークンによる証券の資金調達募集を行う企業が一般的になれば、上場企業も追随するでしょう。

既に上場している企業は登録プロセスが免除されるからです。

 

しかし、SECに登録して資金調達を行う事は200~500万ドル費用がかかる事や、監査をつけた情報開示などが義務づけられるため体力のある企業でないとできないでしょう。

STOに関しては比較的体力のある非上場企業がSECに登録をした上で行う流れになるかと思います。

だから不動産事業やヘッドフォンの会社のように時代のトレンドに終わらず長くビジネスを続けている会社がS-1提出して登録してから資金調達&事業拡大をするのでしょう。

 

〇Regulation S(通称:レグエス)

上記のRegulationDやSECの登録に関しては「米国の企業が米国人向けに証券の販売を行う規定」です。

我々のような外国人に証券の販売を行う場合は、Regulation S(通称:レグエス)という規制に沿った項目を投資家向けの目論見書に盛り込む必要があります。

Regulation Sは「米国外」で行われる証券の販売がSECの登録義務を負わないということです。

他にも外国人に証券の募集を行った際に、売った証券を1年間は米国人に売らないなどのルールが目論見書には書いてあります。

せっかく外国人向けに販売を行ってSECの登録免除を受けているのに、外国人がすぐに米国人に証券を販売したら元も子もないじゃないですか。

セキュリティトークン系のプロジェクトの目論見書にもRegulation Sに関して規制守ってあるよ!と明記してあります。

まぁ本当外国人で良かったよね。RegulationSは「米国の証券取引委員会の規制を免除」なわけだから我々のような外国人は適格投資家の証明が必要ないわけです。

 

〇Regulation A +(通称:レグエープラス)

いわゆるミニIPOです。公募。

今までずっと説明してきた資金調達はわゆる「私募」です。英語だとPrivate offeringと言います。

それに対して、公に向けて資金調達を行う事を「公募」と言います。Public offeringと言います。不特定多数の投資家から資金調達を行うのが公募です。

 

このRegulation A+は元々Regulation Aという規制名だったのですが、2015年のJOBS法によりRegulation A+と呼ばれるようになりました。

やはり、JOBS方についても記事を書く必要がありますね…。

これからSTOをする企業にとっては、レグエープラスは以下のような特徴があります。

・適格投資家の縛りナシ。非適格投資からも資金調達が可能
・すぐに譲渡が可能
・一般勧誘が可能
・公募のため広く投資家に自社の存在が知れ渡る
・SECのレビューに6~12か月かかる
・財務諸表の外部監査が必要
・年次、四半期の貸借対照表・損益計算書の提出(情報開示)
・ブルースカイ法は証券が流通市場に回った時に必要

上記のように、「情報開示」の部分がミニIPOと言われるだけあって厳しく求められます。

「ミニIPOならRegA+でSTOやればいいじゃん!」と思いがちですが、これから資金を集めてビジネスを行うスタートアップ企業にとっては、厳しい情報開示や監査はコストも時間もかかります。

そもそも資金調達を始めるまでに12か月もかかるのであれば、ビジネスチャンスを失いますしね。

というわけなので、STOを実施する企業に関してはまさにセキュリティトークン系のプロジェクト!みたいな企業にはRegulationA+は向いていないでしょう。スピード命なので。

どちらかと言うと、医療、サービス、ITなどなどブロックチェーンを導入する事によって自社ビジネスが発展する企業に向いていると思います。

まさに科学にブロックチェーンを活用するKnowbella Techという企業もRegA+で資金調達しますしね。

https://www.crowdfundinsider.com/2018/03/129011-knowbella-tech-says-will-use-reg-crowdfunding-exemption-initial-coin-offering/

Regulation A+の資金調達方法は以下の表通りです。

Tier1 Tier2
調達額 2,000万ドル 5,000万ドル
一般勧誘 OK(test the waters事前調査アリ) 左記に同じ
発行体 米国 or カナダ 左記に同じ

Regulation A+は公募なので条件は厳しいですが、広く一般投資家から資金調達を行えるメリットがあります。

一応、Tier2に関しては年間収入の10%を超える投資ではないルールがあります。

本当、ちなみになんですけどクラウドファンディング形式でRegA+の資金調達を行うプラットフォームでは、BANQがリーダー的存在です。

このBANQのプラットフォームを利用してRegA+を実施した、MYOMOという企業は「RegA+資金調達を行い、ニューヨーク証券取引所に上場した初めての企業」になりました。

MYOMOはメディカルロボットの会社です。

このクラファンプラットフォームのBANQのCEO、Mark ElenowitzもSTOに肯定的な人物で、RegA+2.0とかって言ってます。

あぁ、話し出すとキリがないや。この話はここで一旦終了。

BANQはTriPointという会社が運営しているので注目しておくといいですよ。STOのプラットフォームになります。

 

〇RegulationCF

CFはクラウドファンディングの略で、クラファンに関する規制になります。

米国では80年もの間、タコス屋の親父が移動販売車を買うためにネットでみんなに「出資してくれ!タコスやるから!」と募集するだけでも違法でした。

アメリカ人のたった2%しかいない適格投資家には私企業は資金調達の募集ができなかったわけです。当然クラファンはNG。

そこで、またもやJOBS ACTのおかげなんだけども2016年5月16日にRegulation CFって事で解禁されました。

これで米国のスタートアップ企業がクラファンを使って、広く一般投資家から資金調達が可能になったわけです。

 


以下のような特徴があります。

・一般投資家からの資金調達が可能
・107万ドルが調達上限額
・12か月の譲渡制限(ロックアップ)
・米国に拠点を置く企業のみ
・年次報告書の提出
・SECに登録されているクラファン企業でのみ資金調達可能

最大のポイントは、「SECに登録されている」クラウドファンディングを提供するプラットフォームになります。

クラファンを使って資金調達を行う企業はFormCという書類をSECに提出してからクラファンをします。

マーケティングにお金をかけられないスタートアップ企業にとっては、クラファンのプラットフォームが代わりに宣伝してくれるのもメリットになります。

 

STOに関して言えば、StartengineIndiegogoが今のところリーディングカンパニーです。

StartengineがクラファンによるSTOの先駆け企業ですが、Indiegogoはそもそもクラファンとしての知名度が高いので、STOやるぜ!となって話題になりました。

 

まとめ

まともやそもそも論ですが、セキュリティトークンってのは企業の証券をトークン化することです。

つまり、これから!ってスタートアップ企業が資金調達を行うためにSTOを行いますし、中小企業が事業拡大のためにSTOを行ったりします。

Security token系のプロジェクト → RegD、RegS
ブロックチェーンを活用した別産業&一般企業 → RegD、RegS、RegA+
アイデア段階や小規模なスタートアップ企業 → RegCF

といったイメージですかね。

セキュリティトークンの取引所や発行、KYC、カストディなどまさに今すぐにビジネスを始めたい企業にとっては、RegDによる資金調達になりますよね。

 

長くなってゴメンね。

この記事も面白いよ!

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